HISSとEnglish Reading Enhancerを使った私の体験と導入手順
「長い時間パソコンに向き合っても疲れにくくなり、私はいつまでも聞いていられると感じています。」
2026年8月28日現在
NVDAを使ってみたいと思っても、実際に使い始めるまでには、いくつかの壁があります。
私が特に大きいと感じたのは、音声の聞きづらさ、これまで使ってきたスクリーンリーダーとの操作方法の違い、そして英語やアルファベットの不自然な読み方です。
この記事では、NVDAを使い始めようとしている方と、その方を支援する方へ向けて、私が実際に行った改善方法を紹介します。
NVDAを使い始めるときに感じやすい壁
PC-Talkerなどを長く使ってきた人は、慣れた音声や操作方法から大きく変わることになります。NVDAをインストールすれば、すぐに同じ感覚で操作できるというわけではありません。
例えば、文章を書くときにはWindows標準のメモ帳などを使い、ファイル管理にはエクスプローラーを使います。PC-Talkerと一緒に使う専用アプリの操作に慣れている人にとっては、一般的なWindowsアプリの操作を改めて学ぶ必要があります。
メモ帳の編集、Tabキーや矢印キーによる画面移動、エクスプローラーでのフォルダー移動やファイル選択などは、慣れるまで時間がかかります。最初は、操作を知っている人に聞きながら覚えた方が進みやすいと思います。
こうした操作の学び直しに加えて、音声が聞きづらかったり、文字を変な読み方で読んだりすると、『やはりNVDAは使いにくい』と感じてしまう可能性があります。そこで、最初の段階で音声と読み方を整えておくことが大切です。
第一の壁 音声が聞きづらい
まずは無料の音声設定を試す
NVDAは無料で使えるスクリーンリーダーです。音声についても、最初から有料のものを購入する必要はありません。音声の種類、速さ、高さなどを調整し、自分が聞きやすい状態を無料で試すことができます。
NVDA日本語チームのYouTubeチャンネルには、音声の基本設定を説明した動画があります。初めてNVDAを使う方は、まずこの動画を参考にして、無料でできる設定から試すとよいと思います。
無料の音声や設定を調整して、自分にとって聞きやすくなるなら、それで十分です。私も無料で使える音声をいろいろ試してきました。
私は有料のHISSを選んだ
無料の音声をいろいろ試したうえで、長時間使ったときの聞きやすさを重視し、私は最近、有料の「High-speed Synthesizer For NVDA」、略してHISSを好んで使っています。これは私自身の選択であり、NVDAを使うために購入が必要ということではありません。
HISSは、アニモ社の音声エンジン「FineSpeech Version 3」を使ったNVDA用の日本語音声エンジンアドオンです。公式ページでは、クリアで聞き取りやすい音声、キーを押してから音声が返るまでの短さ、超高速読み上げへの対応が特徴として紹介されています。
私にとって現在のHISSは、NVDAを快適に使うための大切な音声になっています。聞き取りやすい音声に変えてからは、長い時間パソコンに向き合っても以前ほど疲れなくなりました。私は、いつまでも聞いていられると感じるほど満足しています。
HISSの個人利用限定版の価格
- HISS本体は5,500円で、「ケイコ」と「タカシ」を利用できます。
- 本体と話者追加オプションのセットは8,800円で、「ケイコ」「タカシ」に加えて「ユキ」と「サトシ」を利用できます。
- 本体の購入後に話者を追加する場合は3,300円です。
HISS公式ページには、「ケイコ」「タカシ」「ユキ」「サトシ」それぞれのサンプル音声へのリンクがあります。購入前にリンクを開いて、実際の音声を聞き比べることができます。
私は普段、「サトシ」の音声を愛用しています。長い時間パソコンに向き合っていても疲れにくく、いつまでも聞いていられるように感じています。次のリンクから、私がいつも使っているサトシの音声を聞くことができます。
さらに、HISSをインストールすると30分間の体験利用もでき、実際のパソコン操作中の聞こえ方を確認できます。音声は好みがありますので、サンプル音声と体験版の両方で確かめることをおすすめします。
HISSの購入は必須ではありません。音声は無料のものを使い、アルファベットの読み方だけを直したい場合は、後で紹介するEnglish Reading Enhancerを追加する方法で十分です。
第二の壁 アルファベットを意図と違う読み方で読む
HISSを使って快適にNVDAを利用していましたが、あるとき「ML」を「エムエル」ではなく「ミリリットル」と読むことに気づきました。
私のパソコンで確認した後、妻のパソコンでもメモ帳にいくつかのアルファベットを入力して確認しました。次のような読み方になりました。
- 「ML」は「ミリリットル」
- 「JK」は「女子高生」
- 「DL」は「デシリットル」
アルファベットを1文字ずつ読んでほしい場面でも、略語や単位として自動的に解釈されることがあります。「ML」と「mL」、「DL」と「dL」のように、大文字と小文字の違いを十分に区別せず、単位として読んでいると考えられます。
ウェブ上でも、機械学習を意味する「ML」が「ミリリットル」と機械翻訳されている例が複数確認できました。NVDAだけの問題ではありませんが、アルファベットの組み合わせが別の意味として処理される例の一つです。
せっかくNVDAへ移っても、『何だか変な読み方をする』『これでは使いにくい』と感じてしまう人がいると思います。この段階で知っておいてほしいのが、English Reading Enhancerというアドオンです。
English Reading Enhancerで読み方を改善
English Reading Enhancerは、日本語音声エンジンによる英語やアルファベットの読み上げを改善する、無料のNVDAアドオンです。HISS専用ではなく、現在使っている日本語音声エンジンの英語読み上げを補うために作られています。
NVDAの内部で英語をカタカナの読みに変換してから音声エンジンへ送ります。英語辞書にない言葉はローマ字読みを試し、それでも読めないアルファベット列は1文字ずつ読み上げます。
私はこのアドオンをインストールしたところ、それまで「ミリリットル」と読んでいた「ML」を、希望どおり「エムエル」と読むようになりました。NVDAの読み上げ辞書へ「ML」を個別に登録しなくても改善できました。
ダウンロードしたファイル
English Reading Enhancerは、ACT Laboratoryの公式ページからダウンロードできます。公式ページの「最新版ダウンロード」を実行します。
- ダウンロードしたZIPファイル:ERE-1.1.3.zip
- 展開後に実行したアドオン:EnglishReadingEnhancer-1.1.3.nvda-addon
今後アドオンが更新された場合は、ファイル名のバージョン番号が変わります。必ず公式ページに掲載されている最新版を利用してください。
Windows 11でのインストール手順
ここからは、私が実際に行ったキーボード操作です。
1.ダウンロードフォルダーを開く
- Windowsキーを押しながらEを押して、エクスプローラーを開きます。
- ダウンロードフォルダーへ移動します。
- ダウンロードした「ERE-1.1.3.zip」を選択します。
ダウンロードした直後なら、更新日時の新しいファイルを探すと見つけやすいと思います。
2.ZIPファイルを展開する
- ZIPファイルを選択した状態で、Shiftキーを押しながらF10を押します。
- 右クリックメニューが開きます。
- 上下矢印キーで「すべて展開」に移動し、Enterキーを押します。
- 展開先を確認する画面が表示されます。
- Tabキーで「展開」ボタンに移動し、Enterキーを押します。
展開が終わると、通常は展開されたフォルダーが開きます。
3.NVDAアドオンを実行する
- 展開されたフォルダーの中へ入ります。
- 「EnglishReadingEnhancer-1.1.3.nvda-addon」を選択します。
- Enterキーを押して実行します。
- NVDAからインストールの確認が表示されたら、「はい」を選んでEnterキーを押します。
- NVDAの再起動を求められた場合は、画面の案内に従って再起動します。
これでインストールは完了です。NVDAの再起動後、「ML」と入力したメモ帳などで読み方を確認します。
NVDA初心者と支援者の方へ伝えたいこと
NVDAを使い始めるには、操作方法を覚え直す必要があります。PC-Talkerなどで使い慣れた専用アプリから、メモ帳やエクスプローラーなどの一般的なWindowsアプリへ移ると、最初は戸惑うのが自然です。
だからこそ、同時にいくつもの困りごとを抱えないように、最初に音声を聞きやすくし、アルファベットの読み方も整えておくことが大切だと思います。
まずは無料の音声設定を試し、それで聞きやすければ、そのまま使ってよいと思います。それでも音声が聞きづらい場合は、HISSのサンプル音声や体験版を試す方法があります。読み方だけを改善したい場合は、無料のEnglish Reading Enhancerを利用できます。
私は現在、HISSとEnglish Reading Enhancerの組み合わせを好んで使っています。この二つが、NVDAを長時間快適に使うための大きな助けになりました。
支援する方には、NVDAのインストールだけで終わらず、本人が聞きやすい音声を一緒に探すこと、メモ帳やエクスプローラーの基本操作を一つずつ練習すること、読み間違いを改善できるアドオンがあることまで伝えてほしいと思います。
まとめ
- 最初に、NVDA日本語チームの動画を参考に、無料の音声設定を試します。
- 無料の音声が合わない場合は、HISSのサンプル音声や体験版を試せます。
- 私はHISSを導入してから、長時間パソコンを使っても疲れにくくなりました。
- 読み方だけを直したい場合は、無料のEnglish Reading Enhancerを利用できます。
- 「ML」を「ミリリットル」と読む問題は、English Reading Enhancerで「エムエル」に改善しました。
- 操作方法やファイル管理の学び直しには、周囲の支援があると安心です。
NVDAを使い始めて音声や読み方に違和感があっても、そこで諦める必要はありません。音声エンジンやアドオンを整えることで、使いやすさは大きく変わります。今回の体験が、NVDAを始める方と支援する方の参考になればうれしいです。
参考ページ
ACT Laboratory High-speed Synthesizer For NVDA(HISS)

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