視覚障害者にとっての読み書きは点字とパソコン、それとスマホ。

今回は、視覚障害者の「文字の読み書き」について考えてみました。

 

現代では、スマホをかざすと普通文字(役場から届く活字の文書)や冷凍食品などの作り方など、読み上げられるようになってきています。

すべてにおいて、完全なものではありませんが、かなり実用的なレベルにまでなっています。

 

先日、スマートフォン(iPhone)の文字の読み取りを教えた方から、お礼の電話がありました。

「ヘルパーさんに週に数度きてもらうのだけれど、一人の時に冷凍食品など、利用できないかと思って、先日習ったSullivan Plus(無料)をつかってみたら、500ワットで3分などとしっかりと内容がわかりました。

本当にうれしくなり、報告の電話をしてしまいました!」

という内容でした。

 

その電話の中で、

 

「最近、スマートフォンを使って、いろいろな見えなくて不便なことが、できるようになり、自分がみえなくなっていることを忘れるときさえあるんです」といううれしい言葉をいただきました。

 

私自身、同じようなことを感じているので、二人でとても盛り上がりました。

 

目が見えなくなり、いろいろな不自由さを前にして、壁にぶつかり、どうしてよいのかわからないことは、本当に多いものです。

 

「パソコンやスマホを使うから点字はおぼえなくてよい?」

 

「点字はできるけど、スマホやパソコンは覚えたいけど習う環境がない」

などの声を多く聞きます。

 

点字も使用する人が減っているとか、ニーズが少ないとかいう話を聞きますが、それよりもその前に

 

「点字を習う環境がない」、

 

「スマホやパソコンなどの視覚障害者に、そのスキルを教える場所がない。」

というのが現状だと思っています。

 

目が見える人にとっての「読み書き」は、大きく2つあると思います。

アナログのペンと手帳を使うようなもの。

もう一方はパソコンやスマホなどのデジタル(電子手帳)、いわゆるITを利用したもの。

 

それが、視覚障害者にとっての点字とパソコン(スマホも含みます)だと思います。

 

もちろん、目が見える人たちの中にもボールペンや鉛筆での文字の読み書きはできるけど、パソコンは苦手、スマホも使わないなどという方もおられます。

そのような方に比べて、スマホやパソコン(デジタル媒体)を日常で使う人の方がインターネットのじょうほうなどを利用でき、情報量が格段に多くなります。

 

現代社会は、IT時代になり、小学校からタブレットが配布され、パソコンの学習が加わるようになっています。

 

視覚障害者になって、まず困るのは読み書きができなくなることです。

これは、点字を覚えることでおぎなわれるものです。

メモを書いたり読んだり、本を読んだり日常生活の点字を便利に使えるようになります。

一般の人たちも、そのくらいの認識はあると思います。

 

実際に自分の体験では、中学のころに見えなくなり、文字の読み書きに困り、高校から盲学校へ入り、点字を覚え文字の読み書きができるようになったことは、本当にかけがえのない「点字との出会い」(文字の読み書きを行う能力の回復)になりました。

もともと目が見えるときは、読書をしない子供でした。

 

文字だけだと読めない子供で、マンガしか読んだ記憶がありません。

 

それでも、思春期のころに目が見えないことで、色々なことを一人で考え、その考えを自分で書いて読み返すことができたことは、自分にとって大きな癒しになったと思っています。

何かをかかずにいられない。

それを読み返す。

 

そんな日々を過ごしていました。

 

点字で日記を書いたり、同じ視覚障害者同士で点字のやり取りはできるようになりました。

 

ただ、それでは目が見える一般の方、その他大勢の方たちとやり取りができないものだったんですね。

 

そこで、パソコンを使えるようになると、それまでとはまた、まったく違う世界が開きました。

電子メールを使って、いろいろな人たちへメールができたり、メーリングリストやメルマガなどを活用して、多くの情報収集ができたり、ワードなどで文章を書いて印刷して、目が見える人へ渡すことができたりなど、ずう~っと世界が広がりました。

もちろん、一般の皆さんと同じようにインターネットの活用は、視覚障害者にはかかせないものになっています。

 

目の前にある雑誌や本、新聞などの文字が読めない視覚障害者だからこそ、必要なスキルだと感じています。

 

以前、私が点字図書館で、iPhoneを習いに来た利用者さんにkindleアプリ(電子書籍)の使い方を教えていると、一緒に来館されたガイドヘルパーさんが、

「目が見える私たちは、こんなに使いこなせてないですよー!すごいですねぇ。」と驚かれました。

私からすると、目が見える人は、目の前に読みたい本があれば、手に取ってすぐに読めるので、スマートフォンを使う必要がないからなんですよね。

最新のIT機器は私たち視覚障害者の、ほんとに目の代わりになってくれていると思います。

 

只、視覚障害者のパソコンやスマホの操作は、一般の方と異なっています。

私の使用方法について紹介すると、

 

パソコンでは、マウスは全く使わずにキーボードだけで操作しています。画面に表示された部分を画面読み上げソフトで読み上げさせながら利用しています。

 

 

スマホは、視覚障害者用のアクセシビリティ機能(画面読み上げ機能)を利用していますので、一般の方の操作(じぇすちゃー)とは全くちがう操作方法になります。

 

目が見える一般の人たちはアナログ媒体における「普通文字(墨字・活字)」を周囲の人とやり取りが可能ですが、視覚障害者の場合、点字を使用する視覚障害者同士でしか、その内容のやりとりを行うことができません。

 

それに対して、ワードやエクセル、標準的なアクセシビリティに配慮がしてあるようなものであれば、同じ会社や組織でのデータのやり取りが可能です。

 

これは、本当にすごいことで、目が見えない人でも、デジタルのデータ媒体を使うことである程度のスキルの習得により、事務的な処理ができるようになるということになります。

 

一般の小学校や中学校など、義務教育において、ITの学習が行われるようになっている現代、盲学校でも、IT機器の学習が取り入れられてきていると聞いています。

 

視覚障害者、特に盲学校にいけない方、中途で見えなくなった方たちが、そのような必要なスキルを身に着けられる環境を整える必要があると強く感じています。

 

 

熊本みたいな地方で中途で目が見えなくなった場合には、都市部の福岡のリハビリ施設に行くようになっていますが、これは現実的ではないと思っています。福岡には行かずに、リハビリを受ける機会を持てないまま過ごしている人たちがいるような状況です。

これは、とても残念な状況です。

今まで見えていた方が目が見えなくなり、いろいろなことができなくなる状況になった時に日常生活におけるリハビリは必須です。

 

ITの進歩により、視覚障害者の不自由は、大きく改善されている分野がでてきています。

 

このような環境を生かし、一人でも多くの視覚に障害を持ったひとが楽しく人生を過ごせるようになることを祈っています。

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