先日、日商検定データ活用(エクセル)3級に合格しました。
今回の試験は通常、そんなに難しいものではないのですが、私にとっては、特別な思いがありました。
一般の目が見える人たちはパソコン操作をマウスを使って行うのに対して、私たち視覚障害者はマウスを全く使わずにすべてキーボード操作とその画面読み上げ機能により行います。
試験を受験するどころか、その学習が難しいのが現状です。
東京や大阪、名古屋や福岡など、都市部には、もちろん視覚障害者がそのような学習ができる環境があります。
九州においては、福岡には数か所、WindowsパソコンのMICROSOFTOfficeの基本操作を習う環境があります。
私の場合、盲学校を卒業した後に鍼灸・マッサージの治療院を行っているときにExcelの操作を覚えたくて、ラビットという視覚障害者用支援機器販売・サポートを行うところからExcelの操作マニュアルを購入したり、点字図書館からExcelに関する図書を借りたりしましたが、独学では思うような習得ができずんにいました。
そのころ、きちんと習いたいという気持ちがあり、あちこち調べたのを覚えています。
その結果、わかったのは熊本では視覚障害者以外の障害者へのパソコンの操作は職業訓練などで行われるが、視覚障害者への対応はできないということでした。
その後、東京の視覚障害者のリハビリ施設などへ見学に行ったことをきっかけに東京のSPANにスカイプでパソコンの基本操作を習うようになりました。
今、視覚障害者の点字使用者が減っているとか、障害者雇用の問題とかアリマスガ、結局のところ特に地方において環境が整備されていないことが問題だと感じています。
障害者雇用の水増し問題が2018年にニュースになっていましたが、国や行政は実際には障害者を雇用していないのに雇用していたように数をつくっていました。
一般就労を訓練・学習する環境がないのに雇用に結びつくわけもなく、まずはその環境の整備こそ取り組む課題だと思います。
熊本においては視覚障害者には盲学校へ行くしか、訓練を受ける環境はありません。
私の知っているケースでは、30代・40台の主婦の方など、中途で視覚障害者になった場合、3年かけて家族と離れて「鍼灸・マッサージの資格を取るために入る盲学校」は、考えられないとのこと。
本当にそうだと思います。
また、働き盛りの方で、中途視覚障害者になった場合、熊本ではやはり盲学校しか訓練を受けるところがないというのは、とても残念に思います。
裏を返すと、盲学校に行かない地方の中途視覚障害者は、必要なリハビリを受けられないということになっています。
見えなくて困ることは、もちろん就労以外にも日常生活に色色なことがあります。
読み書きに加え、一人での単独歩行、それ以外に今の時代では欠かせないスマートフォンなどの操作ができなくなるなど、QOLの改善のためにリハビリを受けられるかどうかにより、日常の生活は大きく違ってくると思います。
話は戻りますが、今回コロナの影響で特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPANの日商PC検定3級受験対策コースが開始され、熊本にいながら検定試験の受講のためにオンラインで学ぶことができるようになりました。
今回は、2021年1月期の申し込みを行い、3か月の受講を行いました。
私が受講したときは遠隔でのZoomミーティング講座で全体的な解説が9回実施されました。
全体講座は1週間、または2週間の期間があいていますので、その間は、課題に取り組み、メールによる個別添削が行われます。
1月期は4月、4月期は7月、7月期は10月、10月期は翌年1月の受験を目指すコース申し込みになっています。
受講定員は、5名、現在就労中、または就労のための資格取得者の参加を想定している講座のようでした。
この10年間、3療の仕事から、点字図書館に転職して、一般の方(目が見える晴眼者)とのメールやデータのやり取りが通常の業務なので、ワードやエクセルが使えないのは、非常に大きな壁になっていました。
熊本において受講するにはZoomミーティングアプリの基本的な操作ができる程度の操作スキルは必要ですが、今までだったら、都市部のリハビリ施設に半年、1年など、入所することで受講できていた内容が普段に熊本にいながら受講できるようになったことは、ずっと願っていたことでした。
各県の点字図書館では、簡単なパソコン操作やスマートフォンの操作などへの対応はできるところもふえてきていると聞いています。
基本的なスキルは地元で身に着けられ、資格取得など、専門的な講座の受講はオンライン講座などの利用ができるようになると、私たち障害者はとても助かります。
このような機会が今後、増えていくことを願っています。
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